消化管内異物
消化管内異物の症状「吐く」という症状がある場合には、品種、年齢、性別にかかわらず、「消化管内異物」が原因となっている可能性があります。
広い意味では、口の中に物が刺さっていたり、歯に挟まっている場合でも消化管内異物と言いますが、今回は省略して、食道から大腸にいたるまでの異物についてご説明します。
ワンちゃんネコちゃんが口にする異物「異物」とは、本来あってはいてはいけないもの、のことをさします。消化管の中にあってはいけないもの、つまり「消化できないもの」が消化管内異物となります。
ワンちゃんや猫ちゃんにとって消化管内異物になるものは、例えば石、金属、木、植物の芯、種、ガラス、ビニール、プラスチック、布、ゴム、毛、骨、など様々です。異物が食道にあると持続的な嗚咽、唾液の増加、吐出などの症状がみられ、胃の中にあると間欠的な嘔吐となり、腸内に詰まってしまうと持続的な激しい嘔吐を引き起こします。
異物を飲み込んでしまったら・・・異物が食道にあると持続的な嗚咽、唾液の増加、吐出などの症状がみられ、胃の中にあると間欠的な嘔吐となり、腸内に詰まってしまうと持続的な激しい嘔吐を引き起こします。
異物の閉塞で怖いのは、単純に吐き気が出るというだけにとどまらず、詰まっている部分の消化管が血流不全を起こし、組織が壊死することで細菌が体内に流れ出てショック状態に陥ってしまったり、消化管に穴が開いてしまうと、食道では重度の細菌性胸膜炎、腹部では重度の細菌性腹膜炎を起こし、命の危険性もありうることです。
異物を取り除く治療方法できるだけ早急に異物を取り除くことですが、方法は異物がある場所や異物の種類によって異なります。
食道から胃の中、十二指腸の胃に近い場所で、引っ張っても食道を傷つける可能性のないものであれば、なるべく内視鏡で摘出します。
これならお腹を開かず、傷のない状態で取り除くことができます。
それ以外の場合、つまり異物が十二指腸よりも肛門側に進んだ部分にあったり、食道や胃の中にあっても、異物が尖った固いもので、引っ張ると食道の粘膜を傷つけてしまう可能性がある場合は、手術でお腹を開けて取り除く必要があります。
もしも腸管が壊死している場合には、死んだ腸管ごと取り除き、そのあとに腸管を縫い合わせて吻合しなければいけません。
取り除くことができれば、症状は通常急速に改善します。ただし、ショック状態に陥ってしまっている場合には、その後も厳重な治療が必要になります。お腹を開く手術をした場合には、腸から食べ物が漏れるのを防ぐために丸2日間は絶食をしないといけないため、しばらくの入院が必要になります。
異物を飲ませないための注意一番大切なことは、ワンちゃんや猫ちゃんに消化できないものを食べさせないことです。
これは時にとても大変な労力が必要になります。
おもちゃは呑み込めるサイズのものは与えないようにすることや、お留守番をさせるときには届く範囲に異物となるようなものを置かないようにすることなどで、日頃から気を付けましょう。