慢性腎不全
特に高齢の猫ちゃんに多い病気です。ペットの高齢化に伴って、頻繁に見受けられるようになった病気の1つです。
腎臓の機能が低下する体に吸収された栄養素を分解したときにできる老廃物や、体内に入ってきた薬物あるいは毒素を尿として体の外に出す役割をしています。他にも、神経の伝達に重要な役割を果たすミネラル類を調整したり、体の中の水分量を調整したり、赤血球を増やすホルモンを出したりと、様々な役割を担っています。
腎臓はとても繊細な構造をしていて、一度傷ついてしまうとその部分は元には戻りません。
加齢とともに少しずつ傷ついた腎臓が、いよいよ機能を果たせなくなってきた状態を慢性腎不全といいます。
慢性腎不全の初期症状たくさんの薄いおしっこをして、その分のどが渇いてたくさん水を飲むようになります。
これは体の水分量を調整する機能が崩れ、たくさんの水分が体から出ていってしまうことによります。飲んで補える水分量を超えておしっこが出てしまうと体が脱水します。被毛がパサついたり、皮膚の弾力がなくなってきたりします。
また、出ていかないといけない老廃物が体にたまると、だるさを感じ、元気がなくなったり、食欲が落ちたり、時には吐いてしまうこともあります。
慢性腎不全の症状進行貧血が起きてふらついてしまったり、毒素やミネラルのバランス異常のため痙攣がおき、ついには死に至ります。
慢性腎不全の検査血液検査、尿検査および画像検査(レントゲン、エコー検査)になります。
一般的な院内検査の血液検査では、腎機能が30%を下まわらないと異常値として現れませんが、通常はこの検査で十分に診断が可能です。
もし、症状が疑わしいのに異常値が出ない場合、尿中微量アルブミン測定、内因性あるいは外因性クレアチニンクリアランスなど、もっと鋭敏な腎機能検査を行うこともあります
慢性腎不全の治療方法根治するためには腎臓移植ですが、まだまだ一般的な治療法ではなく、体に入る毒素をなるべく抑えるサプリメントや食餌療法、腎臓の血流を改善させるお薬、腎臓の負担を下げる点滴治療が基本になります。
確かにこれらの治療法は根治療法ではありませんが、劇的に症状が改善したり、寿命が何年も伸びるという例は少なくありませんので、根気よく治療を続けることが大切です。